強烈な映画でした。
北野作品によく登場する、監督自身が描いた「絵」や、たけし軍団員が演じる道化が本作品には一切なし。バイオレンス映画としての純度がかなり高まっていました。評価の高い「HANA-BI」や「座頭市」に比べても完成度が高く、現時点の最高傑作と言ってしまっても良いと思います。映画を見終わったあと、Webサイトで予告編を見直していたら、印象深いショットが盛りだくさんで、もう一度見たくなりました。
「アウトレイジ」とは、激し怒り、暴力のこと。誰かに面子を潰されること(怒鳴られた、罵られた、あごで使われたなど)で、蓄積された「怒り」がエネルギーとなって、登場人物たちが考える「悪事」が加速していきます。面子を潰されるという意味では、映画の冒頭、村瀬組の若頭木村が、大友組組長の大友(ビートたけし)にカッターナイフで顔を切り刻まれるところに象徴されていました。
「全員悪人」というキャッチコピーのとおり、「悪人」を演じるキャスト陣も素晴らしい仕事をしていました。特に、加瀬亮と三浦友和。「それでもボクはやってない」で気の弱い主人公だった加瀬亮は、今作ではオールバックにサングラスと言う柄の悪いインテリやくざを演じています。上納金をかすめ取ったり、カジノを経営したり、大使館の人間と英語でやりあったりと、「暴力」以外の手段でのし上がっていく姿が面白いです。三浦友和は、もう本職なんじゃないかと勘違いするくらいの、雰囲気、迫力がありました。
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