インシテミル

ある人文科学的実験の被験者として7日間24時間モニターになるというアルバイトの時給が112,000円。
そんなアルバイト要項を見つけたら、あなたは参加しますか?

インシテミル (文春文庫)

インシテミル (文春文庫)


(以下、若干ですがネタバレします)
破格の条件のアルバイトの内容は、隔離地下施設の中で、他の被験者とともに7日間過ごすというもの。もちろんそれだけで高額の時給を得られるわけではありません。
各人がそれぞれの個室に入ると、そこにはメモ書きと一緒に凶器がひとつずつ。翌日にはルールブックが配られ、そこには驚愕のルールが書いてあります。

  • 自分以外の者を殺害した者は、「犯人ボーナス」として、一人につき報酬総額を2倍とする。このボーナスは累積する
  • 他の参加者に殺害された者は、「被害者ボーナス」として、報酬総額を1.2倍とする。このボーナスは累積しない
  • 殺人一件について、<解決>の場で正しい犯人を指摘した者は、「探偵ボーナス」として報酬総額を三倍とする。このボーナスは累積する
  • 犯人を指摘せんと試みる者は、<解決>において、本人の同意の下に、調査に役立った者一名を指名することができる。指名された者は「助手ボーナス」として、報酬総額を1.5倍とする。このボーナスは累積しない

その他、夜間の過ごし方などの規定がいくつか。要するに、参加者同士で殺し合いをし、参加者の中で犯人探しをしろ、というような内容になってるんですね。
「そんな馬鹿なバイトあるか」と言っていた参加者たちも、最初の殺人が発生してしまってから、混乱、疑念、嫉妬、愛憎、いろんなものが渦巻いて殺人の螺旋が出来上がっていきます。
福本伸行さんのマンガにありそうな心理戦が展開したり、お互いの情報が中途半端にしか開示されない状態での推理合戦が展開したりと、局面が色々と変わっておもしろかったです。
ミステリー好きな人は、読んでいて思わずにやりとしてしまうような仕掛けも散りばめられていて、ミステリー初心者から通まで幅広く楽しめる内容になっていました。
10月には映画も公開されるようで。
映画「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」公式サイト
キャストを見ると、なんか僕が思っていた感じと違うんですが、リングの中田監督がメガホンをとるみたいなので、ちょっと期待してたりします。