グッド・ワイフ2 #14「若き億万長者」

今回のクライアントは、インターネットサービスで巨万の富を築いた若きプログラマ。彼のことをモデルに製作された映画の中に盛り込まれている、彼が女性にふられるといった内容についての名誉毀損のケースでした。裁判シーンではなく、その事前準備にあたる証言録取が決戦の舞台。被告側と原告側が火花を散らします。

「巨万の富を築いたプログラマ」で「映画化」されて「裁判沙汰」になっている人といえば、ぱっと思いつくのが映画「ソーシャル・ネットワーク」のモデルになったマーク・ザッカーバーグです。今回のストーリーは、ザッカーバーグのケースが明らかにベースになっていました。「ソーシャル・ネットワーク」との関連性については、NHK海外ドラマスタッフブログに詳しく書かれているので、ぜひ読んでみてください。

名誉毀損では勝ち目がないと判断した原告側が、その攻撃のポイントを「パブリシティ権の侵害」というところに持って行き、さらにそれを「非営利目的の芸術的な映画だからパブリシティ権の侵害は適用されない」とかわそうとする被告側に、プロダクト・プレイスメントを証拠に営利的な映画であると立証する、スリリングな展開でした。実際の人物をモデルにした映画の権利問題についての争点が垣間見えてためになりました。

そして、おもしろかった点がもう一つ。
ドラマの中で、実在の人物をモデルにした映画についての権利侵害について取り上げる一方で、このドラマのエピソード自体が、まさしくドラマの中で取り上げている実在の人物をモデルにしているケースに該当するという二重構造になっている点です。ザッカーバーグや、あるいは「ソーシャル・ネットワーク」の脚本を書いたアーロン・ソーキンから同様の訴えを起こされてもおかしくないような気もします。
ただ、エピソードの中で、原告であるエデルスタインのことを説明するときに「ザッカーバーグのような人」と表現したり、プロダクト・プレイスメントで商品を宣伝した会社の人物が「ザッカーバーグか、彼か、どちらかの映画で使ってもらう予定でした」と言わせてみたりと、エデルスタインとザッカーバーグは別人であることを強調することで、うまくそのあたりのポイントをずらしているような印象でした。