ラプラスの魔女

東野圭吾さん作家生活30周年の書きおろし新作。

以下、ネタバレ含みます。

ラプラスの魔女

もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。

— 『確率の解析的理論』1812年

ラプラスの悪魔 - Wikipedia

物事の物理運動の結果を完全に予測できる能力、というのはどのくらいすごいのか。物語に登場する人物のように利用することは、確かに可能ではあるが、ある結果になるように能動的に何かを作用させる範囲というのは相当狭い気がした。
バタフライ・エフェクトのように、例えばちょっと歩調を早めるということが、色々なところに連鎖して、地球の未来を大きく変える、というところまではうまくいかなさそう。せいぜい物語中の使い方が精一杯なのではないか。一方で、能力が高まるに連れ、未来のことがどんどん分かるようになると、もはやそこには絶望しかないのではないかという気もする。結果がすぐに分かるというのは、便利なようで、人間にとってはあまり魅力的な能力ではなさそうだなと思った。

本筋とは全く関係ないけれど、そろそろ東野圭吾さんも電子書籍にオープンになってほしい。

ラプラスの魔女

ラプラスの魔女