ドント・ブリーズ

タイトルは「お願い」の「プリーズ」ではなくて、「息」の「ブリーズ」ね。
今年のハロウィン映画の中でスマッシュヒットを飛ばした快作で、日本版のキャッチコピーも「20年に1本の傑作」というもの。
「20年に一度って結構ありそうじゃん」って思うかもですが、まあ要するにハロウィンにシリーズ化されるくらいにおもしろいというニュアンスかなと思います。フレディというキャラを生み出した「13日の金曜日」シリーズや、ジグソウというキャラを生み出した
「ソウ」シリーズ、或いはマスクをヒットさせた「スクリーム」シリーズに並ぶくらいの作品ということですね。

確かに、本作品だけではもったいないくらいの強烈なキャラクター「Blind Man(エンドロールにそうクレジットされてましたが、名前がないんですね)」が爆誕していました。

公式サイトのあらすじは以下の通り。

親と決別し、街を出るため逃走資金が必要だったロッキーは、恋人のマニーと友人のアレックスと一緒に大金を隠し持つと噂される盲目の老人宅に強盗に入る。だが彼は、目は見えないが、どんな“音”も聞き逃さない超人的な聴覚をもつ老人――そして想像を絶する<異常者>だった。
真っ暗闇の家の中で追い詰められた若者たちは、怪しげな地下室にたどり着く。そこで目にした衝撃的な光景に、ロッキーの悲鳴が鳴り響く――。 彼らはここから無傷で《脱出》できるのか――。

映画『ドント・ブリーズ』 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

「目が見えないめっちゃ強い老人」というキャラクターが、ここまで恐怖を産み出すとはという感じです。初日に劇場で見ましたが、観客が皆、感情移入して息を潜め緊迫した空気が張り詰めていたのが印象的でした。

一見すると、社会的弱者と想像して強盗に入った自分勝手な若者が返り討ちにあう痛快なストーリーのようにも捉えられますが、強盗に入る若者たちにもそうせざるを得ない事情があり、また老人の方にも肩入れできない事情がありと、とにかくキャラクター背景の設定がうまい。

あらすじにあるように、「怪しげな地下室」で繰り広げられる「何か」も必見。背筋がゾゾッとするような恐怖を味わいましたよ...。男性の私でも相当な恐怖だったので、女性が見たら尚更ではないでしょうか。

日本での公開日がローグ・ワンと同日だったので、爆発的なヒットは見込めないかもしれませんが、よくあるハリウッドホラーの一作として片付けるには大変惜しい作品ですので、ぜひ一度劇場へ足を運んでみてください。

www.dont-breathe.jp

フライト

ロバート・ゼメキス監督、デンゼル・ワシントン主演のヒューマンドラマです。

先日、「ハドソン川の奇跡」を見た勢いで、なんとなくこの事故をモチーフにしていそうなこの映画を見てみました。

フライト中に機体が制御不能になり、神業テクニックを駆使して胴体着陸をさせたスーパー機長が、事故の原因について追求されるというストーリーです。ここまで聞くと、まさしく「ハドソン川の奇跡」をモチーフにしているのではという感じですが、中身は全然違いました。

以下、ネタバレあります。

そもそも機長が聖人君子ではなく、映画冒頭からCAの愛人抱いて、アルコールと麻薬をキメちゃってるやばいキャラ。ドラッグとアルコールの酔いも冷めぬまま、航空機の運転席に座っちゃうんですね。副操縦士はやけにハイテンションなベテラン機長にタジタジ。

乗客を詰め込んだ機体が離陸するんですが、すぐに乱気流に捕まってしまいます。慌てる副機長を尻目に、強引な操縦で嵐を切り抜ける機長。乗客、副機長もほっと一息。とここまでは良かったんですが、何らかの原因で急に機体のコントロールが効かなくなります。エンジンが止まり、推力を失った機体は高度をどんどん下げていきます。なんとか機体を安定させようと、機長のとんでもないアクロバティックな飛行でギリギリ垂直落下を免れ、機体は地面へと墜落。乗客たちは、たまたま近くにいた人々に助け出されますが、わずかながら死者を出してしまいました。

機体の故障が原因だったので、死者を出したとは言え、神がかったテクニックで乗客を救ったと、機長は英雄扱いされます。ところが、墜落後の検査で、ドラッグの反応と飲酒の反応が機長から出てしまいます。また、残された機体のゴミ箱から、当日配布されなかったはずのウォッカの瓶が見つかります。もちろん飲んだのは機長。機体の事故とは言え、機長に何らかの責任があるのではと、調査委員会から追求され始めます。

そんな中、機長はプレッシャーと後悔の念からか、ドラッグと酒に溺れていってしまいます。

とまあ、航空事故のくだりは序盤だけで、基本的には薬物・アルコール依存症の機長をめぐる人間ドラマがメイン。機長を演じるのはデンゼル・ワシントンです。

デンゼル・ワシントンがまた悪人顔してるんですよね。デンゼル・ワシントンといえば、個人的には「クリムゾン・タイド」あたりの印象が強くて、正義感の強い好青年ってキャラだったんですが、本作ではかなりの悪い顔。アルコールに溺れているとは言え、正義感がないわけではないので、善と悪の間で揺れる男を熱演してました。

基本的には、序盤の航空事故のシーンと、デンゼル・ワシントンの熱演が本作の見所。最後、喧嘩をしていた息子とのやり取りでは思わずホロリと涙を流してしまいました。


ハドソン川の奇跡

イーストウッド監督が、2009年1月に起きた「USエアウェイズ1549便不時着水事故」をテーマに、トム・ハンクス主演で映画化した作品です。

wwws.warnerbros.co.jp

件の事故、フライト中に故障が発生して着水した、くらいの曖昧な知識しかなかったんですが、映画を見て、その後Wikipediaの記載を読んで、情報が補完され助かったのが奇跡だったんだなと思えました。

USエアウェイズ1549便不時着水事故 - Wikipedia

事故について私が知らなかったことで、かつ事故の奇跡度が高まる真実は以下の通り。

  • バードストライクによるエンジントラブルで推力が失われたのは離陸後すぐだった
    • 空港の近くには大都市があるし、他空港に行くには高度が圧倒的に足りない
    • 事故発生から、着水までわずか208秒
  • 航空機の着水による生存率は低い
    • うまく着水しないと機体損壊
    • 着水後も速やかに機外に避難しないと水没してしまう
      • 事故が発生したのは真冬

事故発生時に、緊急対応マニュアルを頭から順に追っていったら対処が間に合わないと直感的に判断した機長が、副機長と相談しながら、神業テクニックでハドソン川に着水。近くにいたフェリーの手助けもあり、被害者をひとりも出すことなく事故を乗り切ります。が、あまりにヒロイックな行動に報道が過熱。ひとりの人間として、機長のバランスが危うくなったりするところは、とてもリアルでした。

また、安全委員会から、バードストライク発生後すぐに空港に引き返していたら危険を冒さずに着陸できたのでは?という追求に戦っていくところもかっこいいです。

人生には後戻りのできない判断ポイントがいくつもあって、瞬時にそこを判断して行動していかなければなりません。判断が合っていたのか、間違っていたのか。後からじっくり検証することはできるかもしれませんが、実際に判断ができる時間はわずかしかないのです。

自分の人生や仕事でも、判断の瞬間は逃さないようにしなければと思いました。また、逆に、判断に時間がかけられるときは、しっかりと熟考を重ねることもまた大切であることを感じさせられました。

そういえば、飛行機事故映画と言えば、日本の「ハッピー・フライト」も忘れてはいけません。

矢口史靖監督の手によって、笑いあり涙ありのお仕事映画になっていますが、ハドソン川の事件がおきる少し前に公開されていたのも何かの因縁ですかね。「ハッピー・フライト」では、同じくバードストライクによって特定の危機が故障してしまい、空港に引き返して着陸するという文字で書いたらそれおもしろいの?という内容ですが、緊急危機にクルーがどのように対処していくのかがよく分かるので、「ハドソン川の奇跡」とセットで見ておくとおもしろいと思います。映画のトーンはだいぶ違いますが。

ヴィジット

シックス・センス」のM・ナイト・シャマラン作品。

あらすじをWikipediaより。

シングルマザーに育てられている15歳の姉ベッカと13歳の弟タイラーは、祖父母から休暇を利用して遊びに来ないかとの誘いを受ける。
2人はペンシルバニアの祖父母の家で1週間を過ごすことになる。初めて対面する祖父母に最初は緊張したものの、優しい祖父母と美味しい料理に2人は大喜びし、すっかり意気投合する。
ただ、祖父母からは、「楽しい時間を過ごすこと」、「好きなものは遠慮なく食べること」、「夜9時半以降は部屋から絶対に出ないこと」という3つの約束を守るように言い渡される。
しかし、夜中になると、家の中には異様な気配が漂い、不気味な物音が響き渡る。それに恐怖を覚えた2人は、開けてはいけないと言われた部屋のドアを開けてしまう…。

ヴィジット - Wikipedia

孫にニコニコ接してきてくれる祖父母が、じわじわと豹変していく感じが面白いです。若者から老人に対する根源的な恐怖心みたなものが物語のベースにありますね。

主人公のふたりの子どもたちが、祖父母の様子や自分の母に関することをテーマに自主制作映画を作ろうとしていて、全編視点が彼らのカメラ視点になっているというのがちょっと邪魔な演出だったんじゃないかなと言う印象。やりたいことはわかる、けど、うまくハマっていない気がしました。映画「クロニクル」もそうだけど、この手の演出でストーリーをじっくり見せようとするとどうしても無理が出てきて、映画への没入感を逆に邪魔しちゃうことが多いですね。

エンディングロールの弟のしょぼいラップはかなり好きです。

アイアムアヒーロー

nagayamaさんとBivi二条で鑑賞。

人気コミック「アイアムアヒーロー」の映画化。原作を読んでいるので、どうしても原作と比較してしまうが、想像以上に良かった。ゾンビ映画としては、後半の展開はかなり楽しめると思います。原作ファンの人には、改変されている部分が気に入らないって人もいそう。まあそのへんは、長期連載漫画の物語の組み立て方と、2時間で終わる映画の物語の組み立て方は違うということで。

大泉洋さんがはまり役という感じで、シリアスとコミカルの間をいい感じに行ったり来たりしていました。

有村架純さん、長澤まさみさんという両名をダブルヒロインに迎えていますが、ちょっと役不足なんじゃないかなと。女子高生役の有村架純さんは、ところどころで気を失ったり倒れたりしますが、なぜか倒れ方がスカートの中が見えないおしとやかモード。いや、見せろって言ってるわけじゃなくて、極限状態を描いている映画なので、そういうところに大人の事情が見えるとちょっと萎えてしまうんですよね。長澤まさみさんは、演技は良かったんですが、さっぱりしすぎていて、モールで性の対象にされているみたいな悲壮感があんまりないんですよね。原作と映画は違うよ、で良いのかもしれませんが、そういうことを匂わせるセリフがあっただけにちょっと残念。

一方で、原作1巻ラストの衝撃シーンはうまく映像化されていて関心しました。

キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー

GW初日に長男(小5)と鑑賞。Bivi二条のiMAX 3D 字幕版。

様々な脅威から世界を救ってきたアベンジャーズたちも、巻き添えを食らった市民やその遺族の声には弱かった。ヒーローアクション映画では、割りと「お約束」として流されていしまっている「街中の破壊行為による市民の巻き添え」や「国境の侵害」にフォーカスをあて、まじめに考えようとしているのが冗談っぽくもあり、実際に現実で同じことが起きたら自分はどういう立場を取るだろかと考えさせられる。

「正義」っていうのは一義的なものではないんだよ、と最近の映画では悪役が口にすることがあるけれど、本作では「正義のヒーロー」たちが、それぞれの「正義」を胸に対立してしまう。基本は子どもも楽しめるアクションエンターテイメントなんだけど、じっくり考えさせられるテーマをさらりと盛り込んでいるのはさすがという感じ。

アクションシーンはそれぞれのヒーローの特徴が出ていて楽しく、今回初登場のスパイダーマンもいい感じにキャラを発揮していた。個人的にはアントマンの活躍が楽しかったです。あれだけガチなヒーローたちに混じって、マーシャルアーツが得意な女性というナターシャの立ち位置もかなり際立っていて良かった。

ソニピから出張して出演してくれたスパイダーマン。今度はアイアンマンがスパイダーマンの方に出演するという話も聞こえているので、そちらも楽しみ。アメイジングスパイダーマンシリーズは、僕的には楽しめていたので、尻切れトンボ感は半端無いけれど、まあリブートするスパイダーマン・ホームカミングに期待することにします。

スター・ウォーズ/フォースの覚醒

雨で野球の練習が中止になったので、長男と見てきました。Bivi二条のIMAXにて。
おそらく見た人の半分以上が、「ライトセーバーの手渡し方、逆では?取っ手の方を渡さないと!」って心の中で突っ込んだはず。
あと、カイロ・レンくんの癇癪っぷりが楽しかったです。