ラットマン

道尾秀介さんの代表作。ネットでは「向日葵の咲かない夏」かこれか、って意見が多かったです。
僕も、これまでに読んだ道尾作品の中で、これが一番好きですね。

ラットマン (光文社文庫)

ラットマン (光文社文庫)


「ラットマン」とは、下の図のように、同じ絵なのに状況によって見え方が変わってくるもののこと。
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上はおじさんに、下はねずみに見えますよね。
物語も、このラットマンの絵のように、同じ事象を登場人物のそれぞれの視点から見るとちがったものに見えるという構造になっています。
最後の最後、事件の真相が暴かれる段階になって、読んでいる僕も大きくミスリードされていることに気づきました。一本取られて脱帽でした。
ただ、この作品も「ボトルネック」同様に、青春の暗い影みたいなのが見え隠れするので、その点だけはちょっと合わなかったです。