フライト

ロバート・ゼメキス監督、デンゼル・ワシントン主演のヒューマンドラマです。

先日、「ハドソン川の奇跡」を見た勢いで、なんとなくこの事故をモチーフにしていそうなこの映画を見てみました。

フライト中に機体が制御不能になり、神業テクニックを駆使して胴体着陸をさせたスーパー機長が、事故の原因について追求されるというストーリーです。ここまで聞くと、まさしく「ハドソン川の奇跡」をモチーフにしているのではという感じですが、中身は全然違いました。

以下、ネタバレあります。

そもそも機長が聖人君子ではなく、映画冒頭からCAの愛人抱いて、アルコールと麻薬をキメちゃってるやばいキャラ。ドラッグとアルコールの酔いも冷めぬまま、航空機の運転席に座っちゃうんですね。副操縦士はやけにハイテンションなベテラン機長にタジタジ。

乗客を詰め込んだ機体が離陸するんですが、すぐに乱気流に捕まってしまいます。慌てる副機長を尻目に、強引な操縦で嵐を切り抜ける機長。乗客、副機長もほっと一息。とここまでは良かったんですが、何らかの原因で急に機体のコントロールが効かなくなります。エンジンが止まり、推力を失った機体は高度をどんどん下げていきます。なんとか機体を安定させようと、機長のとんでもないアクロバティックな飛行でギリギリ垂直落下を免れ、機体は地面へと墜落。乗客たちは、たまたま近くにいた人々に助け出されますが、わずかながら死者を出してしまいました。

機体の故障が原因だったので、死者を出したとは言え、神がかったテクニックで乗客を救ったと、機長は英雄扱いされます。ところが、墜落後の検査で、ドラッグの反応と飲酒の反応が機長から出てしまいます。また、残された機体のゴミ箱から、当日配布されなかったはずのウォッカの瓶が見つかります。もちろん飲んだのは機長。機体の事故とは言え、機長に何らかの責任があるのではと、調査委員会から追求され始めます。

そんな中、機長はプレッシャーと後悔の念からか、ドラッグと酒に溺れていってしまいます。

とまあ、航空事故のくだりは序盤だけで、基本的には薬物・アルコール依存症の機長をめぐる人間ドラマがメイン。機長を演じるのはデンゼル・ワシントンです。

デンゼル・ワシントンがまた悪人顔してるんですよね。デンゼル・ワシントンといえば、個人的には「クリムゾン・タイド」あたりの印象が強くて、正義感の強い好青年ってキャラだったんですが、本作ではかなりの悪い顔。アルコールに溺れているとは言え、正義感がないわけではないので、善と悪の間で揺れる男を熱演してました。

基本的には、序盤の航空事故のシーンと、デンゼル・ワシントンの熱演が本作の見所。最後、喧嘩をしていた息子とのやり取りでは思わずホロリと涙を流してしまいました。