感動と驚きの詰まった物語集『きこえる』:音声から見える新たな世界

道尾秀介先生の「きこえる」を読了。

短編集になっていて、各短編の最初か最後か途中にQRコードが記載されていて、リンク先に遷移すると物語に関連する音声(文章で書かれている内容だったり、文章に続く内容だったり)が聴けるというもの。ただ単に聴けるだけではおもしろくなくて、そこで聞こえてきた情報により物語の見え方が変わったり、意味が補強されたりして、驚きがありました。

短編ごとに、音声による仕掛けが違っていて、結構意味をよく考えないとぱっとはわからないものもあるので、これはどういう意味なのかなと考える面白さもありました。

「きこえる」「にんげん玉」「セミ」「ハリガネムシ」「死者の耳」の5編が収められていて、分かりやすかったのは「きこえる」「にんげん玉」「ハリガネムシ」かな。「セミ」は、どういうことだろうと考えて、腹落ちした感じ。最終話の「死者の耳」については、おもしろかったけど、ちょっと反則な気もするが、どうなんかな...。このあたりの解説というかこういう風に解釈したよ、についてはどっかに書きたいな。

きこえる