バイバイ、ブラックバード

伊坂幸太郎の新刊。50名の読者に不定期に手紙として伊坂幸太郎から短編小説が一編届くという企画(ゆうびん小説)で書かれた短編5編に書下ろしの1編が加えられ単行本化されたものです。
伊坂幸太郎の短編集は久しぶりで、第1期の短編集である「死神の精度」とか「終末のフール」とかの雰囲気があって楽しめました。女性に5股をかけている男性が、ひとりひとりの家を訪問して別れ話をしていく、という大枠のストーリーがあるのですが、それよりも毎回登場する個性豊かな女性たちと主人公、そして主人公にぴったりくっついている不思議な女性が繰り広げるやりとりが実におもしろかったです。
太宰治の絶筆となった「グッド・バイ」がモチーフになっているそうです。
なんで「グッド・バイ」がモチーフになっているのか、ゆうびん小説の企画はどうして生まれたのか、作品が出来上がるまでに作家は何を考えていたのか、というあたりが、「『バイバイ、ブラックバード』をより楽しむために」という本にまとめられているので、併せて読むことをおすすめします。太宰治の「グッド・バイ」も収録されていて、読んでみると確かに「バイバイ、ブラックバード」がモチーフにしたのが分かるのですが、それぞれまた異なった読み味があって、二倍三倍楽しめました。

バイバイ、ブラックバード

バイバイ、ブラックバード


「バイバイ、ブラックバード」をより楽しむために

「バイバイ、ブラックバード」をより楽しむために