ソーシャル・ネットワーク

僕の大好きなデビッド・フィンチャー監督の最新作「ソーシャル・ネットワーク」を観てきました。
映画のタイトルが、「フェイスブック」でも「ソーシャル・ネットワーク・サービス」でもなく、「ソーシャル・ネットワーク(原題だとthe social network)」であることからも分かるように、facebookのCEOマーク・ザッカーバーグの「ソーシャル・ネットワーク」についての物語でした。若い起業家の周りで起こる、嫉妬や裏切りの愛憎劇。セリフが早回しで、字幕だけだとフォローしきれない情報がいくつもあるので、facebook.comについてある程度知らないと、日本人は楽しめないなぁと思いました。
ザッカーバーグを演じたジェシー・アイゼンバーグはなかなかの好演でした。まるではてなの若手エンジニアを見ているようでした。

以下、ネタバレします。

I'm CEO, Bitch!

それにしても、ショーン・パーカーが悪人にしたてあげられていたなぁという印象。一方で、悪態を付いて観客に嫌われそうなザッカーバーグは、「あそこまでする必要なかった」なんて言わせて、実はいい人の側面もあるよという風に描かれていて、ナップスターを立ち上げたショーンは、未だメディアに嫌われているんだなぁと思いました。
ショーン・パーカーが、麻薬所持で逮捕されるシーンの前に、オフィスでザッカーバーグが受け取る2つの箱。あれ、"I'm CEO, Bitch!"が印刷された名詞ですよね。大好きなショーンに言われたとおり、名詞を作ったのに、その名詞が届いた夜に、裏切られるような行為をされ、余計に傷つくというシーンが印象的でした。

Exactly!

ショーン・パーカーとザッカーバーグ達が最初に出会うレストランで、エドゥアルドに「広告を出そうと思うんだがどう思う?」と聞かれたショーンが、「たしかに今は広告を入れるべきじゃない」「パーティーを11時で終わらせるな」と意見を言う毎に、ザッカーバーグが"Exactly!", "Exactly!"と相槌を打っている様子が実に良かったですね。"Exactly!"は2011年に流行らせたい言葉です。

Which part?

とかく世間ずれしているザッカーバーグ。自分の興味がないことについての打ち合わせ、というか宣誓録取の場面においては、だらしない格好で椅子に座り、あからさまにやる気のなさをアピールする。なんかid:wakabatanを思い浮かべてしまいましたね。コードを書くときの雰囲気もちょっと似てたし。ザッカーバーグ並の働きを期待することにします。

David Fincher

フィンチャーファンとして、「ソーシャル・ネットワーク」の映像面についても少し触れておきます。
フィンチャーは、作品ごとに映像的にトリッキーなシーンを必ず入れてくるのですが、本作では中盤のボートレースシーンがアクセントになっていました。ミニチュア風の映像と、派手な音楽に合わせたボートレースのカット割りは、おもしろかったです。
あと、冒頭のフェイスマッシュを作るところのハッキングシーン。スクリプトを使って画像をPCに保存するところで、ディレクトリの中にある画像のサムネイルが書き変わっていくところは、リアリティと映画的な演出のギリギリのラインをついていて、センスが光るワンシーンでした。