白い巨塔が真っ黒だった件

SNS医療のカタチがきっかけで知り合い、同じB'zファンということで意気投合した大塚先生の新刊を読みました。

刺激的なタイトルの通り「白い巨塔」と表現される大学病院(大学の医学部)が、令和になった今でも、1963年の山崎豊子先生の著作「白い巨塔」で描かれた『封権的な人間関係』と『特殊な組織』のままであることが描かれています。

パワハラやセクハラは当たり前、偉い先生に睨まれたらキャリアが終わってしまう恐怖に怯えながらの毎日。

体験をもとにしたフィクションです、とことわりが書いてありますが、ほぼほぼノンフィクションなんだろうなと想像させるリアリティでした。

こういった内容の本を、現役で大学病院の教授職に身を置く先生が描くのは相当な勇気と思い切りが必要だったと思います。本の中でもスタンドプレーや目立つことに対しての圧がすごい世界と書かれてますし、元々所属されていたところからの反応も想像できます。なかなか書けるものではないですね。素晴らしい勇気。

そして、ものすごい勇気だなと思った点がもう一つ。ご自身の経験として、パワハラにより鬱になり、医局から身を引こうかと考えたこともあるということを書いている点です。こういった経験もなかなかオープンにし辛いもの。この点を描いていることで、この物語の重みがぐっと増えていると思います。

様々な圧や嫌がらせ、悪意によって、ご自身のキャリアを、人生を壊されかけた先生が、今こうして教授になり、仲間を得て、こういった本を書けるということ自体が、後進の先生たちの希望になるのだろうな。

それにしても教授戦の面接が裁判みたいで怖かった。証人(受験者)の信用を貶めるための質問をたくさんしてくるのいやらしすぎる。

B'z大好きな先生のことだから、どこかにひっそりとB'zネタが仕込まれているんじゃないかと思ってそういう視点でも読み返してみたんだけど、さすがに見つからなかった。