踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!

公開初日の最初の回を見に行ってきました。上映後に、東京の映画館と連携して初日舞台あいさつの生中継付き。朝7:40の回に来るだけあって、来ているのは「踊る」ファンがほとんど。僕の隣に座った女の人なんて、オープニングで鼻すすって泣いてたもんなー。
映画自体は、「踊る」ファンなら是非劇場へ足を運ぶべき。楽しめます。そして足を運んだことによる集客が、次の「4」へとつながることでしょう。ただ、そんなに「踊る」に興味がない人には、あまりおすすめできない内容でした。
先に良かったところをいくつか挙げておきます。
「踊る」に登場するキャラクターたちの「その後」がちゃんと描かれていてよかったです。どんな脇役も大切にするのが「踊る」のいいところ。あと、今回初参加の伊藤淳史と小栗旬も、ちゃんとはまっていました。小栗旬は器用ですね。スリーアミーゴスの面々ももはや円熟の域。やりとりが神がかっていました。この間「アウトレイジ」を見たばかりだったので、北村総一朗のギャップに萌えました。
とまあ、ファンなら楽しめる部分が随所に盛り込まれてはいるのですが、ひとつの映画作品として見たときにどうしてももやもや感が残ってしまう。
なにがまずかったんだろうと、映画を見終わったあとずっと考えていて、でた結論が「踊る」シリーズに期待していたカタルシスがまったくないということ。僕にとって「踊る」は、現場の「所轄」と会議室の「本店」の対立の物語であり、どこの組織にもある縦割り社会の壁を青島刑事が痛快に打ち破っていくところが最高におもしろいところだったのですよ。ドラマもそうだったし、劇場版1、2もそうでした。ところが今回はそういう組織的な話がほとんど前に出てこない。そのせいか、それぞれがそれぞれの立場で組織を変えていこうと誓ったはずの青島と室井が絡むシーンがほとんどないのです。物語の幹になる部分がしっかりしていないので、ストーリー全体がふわふわしている。でもって、いつもの青島の口上も、「俺に部下なんていない!いるのは仲間だけだ!」なんて「え?ここでそのキレ方?」とびっくりしてしまいました。上映後の舞台挨拶で織田裕二が「和久さん(いかりや長介)が死んで、(中略)今回の『踊る』は『生』と『死』そして『仲間』についての物語です」みたいなことを言っていて、いや「踊る」に期待してたのはそこじゃないですよと。
あと、ファミリーを大切にするあまり、本筋とは関係がない登場人物の描写が多くなりすぎて、テンポが失われているというのもすっきりしない原因のひとつじゃないかと思いました。
上映後、しきりに「4」のことを匂わせてましたが、「4」作る前に連ドラの新シリーズやってくれないかなぁ。青島の部下に青島以上の熱血漢がやってきて、世代交代が起こるとかあってもおもしろいと思うけど。