劇場公開を見逃した「罪人たち」をU-Nextのポイントを使って視聴。劇場公開から配信で見られる期間がめっちゃ短くなってるねえ。
「罪人たち」英語のタイトルは「Sinners」。Sinが罪、Sinnerが罪人(道徳・宗教上の)。直訳と言えば直訳である。中盤までは、1930年代のアメリカ南部で、シカゴから組織の金を奪って故郷に戻ってきた札付きのワルふたり(スモークとスタックの兄弟)が、古い材木所を買い取って黒人たちが音楽と酒と飯で自由を感じる酒場を開くという話なのだが、途中から雲行きが怪しくなり、吸血鬼が出てきて、酒場の歌に引き寄せられ、吸血鬼vs人間というバトルが始まる。なんか「フロム・ダスク・ティル・ドーン」を彷彿とするような雰囲気だが...。吸血鬼、心臓を杭で打たれたりしないと死なないので、「死なーず」という邦題にしても...よくないね。
ゾンビとかモンスターと違って、吸血鬼は人間を襲ってくるけど、知能が高く、普通に会話できるんだよね。そして、噛まれることで吸血鬼になれるわけなんだけど、太陽の光をさけないといけない代わりに不老不死?になれるというね。こっちの世界にくると幸せだよと勧誘してくる。藤子不二雄SF短編集の「流血鬼」や「アイ・アム・レジェンド」を思い出します。そもそも「流血鬼」は「アイ・アム・レジェンド」の原作である「地球最後の男」を下敷きにしていて、吸血鬼ものを描く際のベースになってるますね。
夫を吸血鬼に噛まれ娘も狙われた夫人が、発狂して吸血鬼と対決して命を落としたり(吸血鬼と一緒に燃えた)、自分の妻が吸血鬼に噛まれた主人公が、妻が吸血鬼化する前に心臓を杭でついて「死」を与えたりしてたんだけど、愛する者たちと一緒にいたかったら実は自分も吸血鬼になってしまうという選択肢があったんだよね。そうなると失うものも色々あるわけなのだけど。「吸血鬼」vs「人間」という構図はいろんなものに置き換え可能で、対立している相手側に入ってしまったら...みたいな想像につながります。もし自分が同じようなシチュエーションになったらどう判断するかなー。
あと、吸血鬼たちは招かれないと家に入れない、というルールが面白かった。家屋の外で吸血鬼化した場合、改めて中の人に「入っていいよ」という許可をもらわないといけないというね。あれこれ理屈をこねて、家の中の人から「招かれる」発言を引き出そうとするのがおもしろかった。
そして、夜が明け、吸血鬼との戦いが終わった後ね。材木所を売った白人が、実はKKKのリーダー格で、酒場に集っているはずの黒人たちを不意打ちして殺してしまおうとしていたという展開。こわいわ。吸血鬼よりも、こっちのほうがこわい。
で、エンディング。戦いで生き延びた若いギタリストが、ブルースプレイヤーとして老人になっており、バーで演奏しているというところにつながっている辺りが、普通のホラー映画じゃない感じで良い。余韻の残し方がうまいなと思う。監督のライアン・クーグラーは、色々撮っているのかと思ったけど、「クリード」「ブラック・パンサー」シリーズが主なのね。マイケル・B・ジョーダンが盟友という感じか。
というか、この「罪人たち」のスタックとスモーク兄弟はマイケル・B・ジョーダンのひとりふた役なの!? 油断してて全然気が付かなかった...。
そして、もう一本。Disney+で「猿の惑星 創世記」を視聴。1970年前後の「猿の惑星」シリーズをリブートした作品群の1作目ですね。というか、最初の「猿の惑星」って1968年、私が生まれる10年も前の映画だったのか! 子供の頃に見た記憶があったので勝手に1978年以降の映画だと思っていた...。旧シリーズは5作作られていて、ほぼ1年毎に新作が出ているのがすごい。そして2001年に、最初の「猿の惑星」をティム・バートンがリ・イマジネーション(リメイクとは違うらしい)した「PLANET OF THE APES/猿の惑星」も公開されている。主演がマーク・ウォールバーグで、この頃、マーク・ウォールバーグが「ブギー・ナイツ」以降ノリにのっていた時期で同年に「ロックスター」も公開されていて、たぶん劇場に見に行ったというふんわりとした記憶だけがあります。細かいところは忘れてしまったなあ。
で、本作の方ですが、「どうして地球が猿に支配されてしまったのか」の導入となるところまでが描かれています。猿が知能をつけていくところと、人類が滅亡する原因が登場するところ。そのふたつは密接に関連しているわけなんですが。
知能をつける猿(シーザー)の飼い主(というか育ての父)であるウィルをジェームス・ブランコさんが演じてるんですが、サム・ライミ版「スパイダーマン」でハリーを演じていた頃と変わってなくてびびりますね。で、スパイダーマンでもいわゆる実験施設の関係者(父親が研究者)で、本作ではガチ研究者となっていて、なんかそういう役どころ顔なのかなと思ってしまいました。
あと、猿が知能をつけてどんどん人間に近づいていくところを、立ち姿の姿勢と目力で表現されていて、そこも良かったです。
猿の収容所みたいなところの、意地悪管理人(管理人の意地悪息子、のほうが正確か)をハリー・ポッターでマルフォイを演じていたトム・フェルトンさんが演じていて、いかにもな感じだったんですが、初期キャリアの有名な役柄にその後のキャリアの役どころがひっぱられる典型的なあれかなーと思ってちょっと可愛そうだったなあ。意地悪管理人、あまりに愚かで、人間の何倍も運動能力があるチンパンジーに対して、電気棒一本で立ち向かおうとしてましたからね。そう思うと、高圧的な父の下で、やりたくない猿の管理をやらされ、なんなら跡継ぎとして将来の道筋がついているやるせなさみたいなのを表現されていたのかな。
本作は明確に新シリーズの導入というところで、これからどんどん猿が支配していくという感じの展開が、この後の「新世紀」「聖戦記」「キングダム」につながっていくので、見てみようかな。
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