グリーンブック

なんか朝から偏頭痛で、午後になるに従って痛みがひどくなってきました。気圧のせいなのかな?

夜、Netflixで「グリーンブック」を観ました。

2019年のアカデミー賞で作品賞を受賞した作品。1960年代の実話をもとにした作品で、ジャマイカアメリカ人のピアニスト、ドン・シャーリーと、ドライバー兼警備係のイタリア系アメリカ人トニー・ヴァレロンガとの交流を描いた作品。ドンが、黒人差別のひどいアメリカの最南部の地域をツアーでまわった8週間の出来事を描いています。

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劇場公開時に気になっていたのですが、アカデミー賞を受賞した際に、一部から批判の声があがり、それにちょっとげんなりして観るのを先延ばしにしていたのでした。批判のポイントは色々あったようですが、白人の救世主という、白人が非白人を窮地から救うという典型なのではというのがそのひとつだったようです。同じく人種差別をテーマにした映画「ブラック・クランズマン」が同時にノミネートされていて、そちらが受賞を逃したというのも感情を逆なでさせたのかもしれません。なんとなくそんな前知識を頭に浮かべながら観てみましたが、そんなに言われるほど悪い映画じゃないと思いました。むしろ良かったです。ヴィゴ・モーテンセン演じるガサツで短気なトニーも良かったし、マハーシャラ・アリ演じるピアノの天才だけど気位いが高すぎるドンも良かった。描かれているのは、人種や立場が異なる人間が、互いに認め合い、自身の認識を改めていくという相互作用の物語だと感じました。人種間の対立が進む中で、こんな物語は現実的ではないという批判もあったようですが、現実と異なる希望を描くのは良いじゃないですか。

印象に残っているのは、道中のケンタッキー州で「ケンタッキーでケンタッキーフライドチキン食べられるじゃん!」とテンションがあがるトニーと、フライドチキンを食べたことがないドンのやりとり。「黒人といえばフライドチキン好きだろ?」とトニーが言えば、「君は世の中の見かたが狭い」とドンに突っ込まれ、「俺はイタリア人が全員パスタ好きだろって言われても平気だ」と答えてからのその後の一連のやりとりは、世の中の多様性を認めて、ステレオタイプをどんどんなくしていこうという現代の動きに対してのメッセージなのかな(そういえば、そもそもケンタッキーでフライドチキンというのもステレオタイプな楽しみ方ですね...)。

別のシーンで、ドンが、自分のことを黒人でも白人でもない、はぐれ黒人だと嘆くところも、多様性を重視して、個性を尊重することで、自分が所属するコミュニティ、帰属意識がもてるグループがなくなることの辛さを訴えているようでした。